今月の聖句(6月)の聖句をお知らせします?
「風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、
それがどこから来て、どこへ行くのかを知らない。」
(ヨハネによる福音書3章8節)
まず、古い話になりますが、かつて「風と共に去りぬ」というハリウッド映画がありました。
1939年に制作された作品です。テレビ放映で私が初めて見たのは高校生の頃、
主役を演じた女優ヴィヴィアン・リーの美しさに魅了され、
当時すでに昔の人でしたが、彼女が出演した作品のビデオをレンタルしては見るきっかけになった映画です。
舞台は19世紀のアメリカ。没落した農場主の娘スカーレット・オハラが、持ち前の才気と、
ときにはその美貌も武器にしながら人生を切り開いていく中で
一番大切なものは何であるかに気づくというストーリー。
こう言うと実にあっさりとしてしまうのですが、映画は3時間40分、
原作の小説も、新潮文庫で全5巻という長編です。
その中で、主人公スカーレットがたびたびつぶやく有名なセリフに次のようなものがあります。
「考えるのはもうよそう。明日は、明日の風が吹くのだから。」
実は、このセリフは日本語による意訳で、英語の原文だと、「風」という言葉は使われていないのだそうです。
ですが私は、キリスト教の文化圏で生まれたこの作品にはぴったりの、秀逸な翻訳であるように感じています。
新約聖書の原語であるギリシア語も、キリストが当時の人々と話すときに使っていたヘブライ語も、
「風」という単語は、同時に「聖霊」という意味も持っていました。
「父と子と聖霊のみ名によってアーメン」と祈るときの、あの「聖霊」です。
さて、今月の聖句は、
「風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞いても、それがどこから来て、どこへ行くのかを知らない。」
その言葉どおりに読んだり、聞いたりすると「たしかにその通り」と思うだけかもしれません。
ですが、「風」を「聖霊」に置き換えてみると、
神様の計画が私たちには計り知れないものであること、
そのみ心によって私たちは生かされているということに気付くのではないでしょうか。
先ほどのスカーレット・オハラのセリフは、彼女が困難に直面したときの決めゼリフとして何度も出てきます。
そのたびに自分を待つ運命を「明日の風」と呼んで希望を託しながら、
心の中では神様に信頼を寄せて祈っていたようにも考えられるのです。
暑さが増す季節ですが、ときおり爽やかな風を感じたらそれは神様の息吹、
神様がすぐそばで私たちを見守り、導いてくださっていることを思い出してみましょう。